さて、今日は先日ご紹介した欧州オープン株式に潜む
リスクについてお話したいと思いますが、この欧州株式
オープンの特徴として、ポートフォリオ内に組み入れら
れている銘柄が、主に医薬品、バイオ関連、金融やエ
ネルギーといった銘柄で構成されており、政治的にも
経済的にも安定した先進国で構成されているファンド
であるのが特徴でした。
では今回はこれらに投資するにあたり、事前に知って
おきたいリスクについてお話ししたいと思います。
まず、ヨーロッパはドイツやフランス、イギリスといった
先進国が多く集まっており、産業構造の層がとても厚
く、企業は新たな製品を作り出すため切磋琢磨を続け
ており投資していくには理想的な環境が整っていると
いえます。
しかしそれも安定的な生産を続けていくだけの産業
基盤として安定したエネルギー供給があればこそ可
能になるわけで、それが絶たれたら企業の成長に水
を刺すことになりかねません。
この国家の産業基盤を脅かす存在こそがこの欧州投
信最大のリスクであるといえるでしょう。
そしてそれはヨーロッパとは全く関係のない国の事情
で起きてしまう可能性があるのです。
ご存知のように先日ロシアがウクライナに侵攻したこと
で世界から、特に先進国から激しい非難を浴び、G7
首脳の間では現在ロシアに対して制裁を行う準備を
進めている常態にありますが、この状態に気まずい
想いを抱いている国がいくつかあります。
ロシアからのエネルギー供給を依存している国です。
特にドイツは天然ガスの供給をロシアに依存しており、
その依存度は国内消費される80%の天然ガスを。
また石油や石炭の多くがロシアからの輸入で賄って
おります。
もしロシアにG7レベルで制裁を加えてしまい、怒っ
たロシアがエネルギー供給を止められてしまったら?
確実にドイツは国内の産業成長にブレーキがかかる
ことは間違えありません。
そうなると株式市場にもネガティブインパクト与えるこ
とは間違えなく、長期化していけば投信の基準価格
にも影響が出ます。
ですからドイツはロシア情勢の動き次第で、産業面に
おいて政治的なリスクを抱えているのです。
現在のドイツは他の6先進国の非難声明に対して協
調する立場を取っていますが、実際は小声で非難し
ているだけであって、本音ではありません。
メリケル首相もロシアからエネルギーの供給を止めら
れると国内産業に大打撃を与えかねない事を熟知し
ているため、ロシアを必要以上に刺激しないようなト
ーンで非難をしています。
ドイツは今、大国ロシアに対して非常厳しい綱渡り
を強いられているのが実情なのです。